わんことアイドル

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目黒side






絶賛ドラマ撮影中の今、カットがかかり、次のシーンに向けセリフや動線を確認して集中していた時、



不意に聞こえた、



　「さっきあそこにいたわんちゃん、すっごい可愛かったぁ」

　「あ、見た見た！ちっちゃいポメラニアンでしょ！」



という衣装さんたちの会話。





へぇ、わんちゃん近くにいるんだ。


...うちの子、何してるかな





特殊な仕事柄、連日家を空けてしまうのはもうどうしようもない話だけどまだ幼いバニラがどうにも可哀想で、昨日から実家に預けていた。



バニラ寂しがってないかな


......いや寂しがっていたのは、俺か。





玄関を開けてモフモフが突っ込んで来なかったり、

ソファに座ってもよじ登ってくるモフモフが現れなかったり、

朝、無機質な目覚ましの音で起きたり。



数ヶ月前までは当たり前だった我が家の光景がどうにも落ち着かず、随分ソワソワと過ごしてしまった。





スタッフ「すみません、目黒さん！もう少し時間貰います！」


「あ、全然大丈夫ですよ」





カメラのアングルやら小道具のセッティングなど撮影の準備はまだ結構かかるらしく、


ちらっと見えればいいな、癒されたいなと思ってその噂のわんちゃんを見に行くと


遠目に見えた、なんだか見覚えのあるポメラニアン




え、嘘でしょ？


めちゃめちゃ、バニラに似てない....？



まだ後ろ姿しか見えてないけど、なんか、あれ...





見れば見るほどバニラにそっくりのポメラニアンに


一か八か、


「え、バニラ？」


と声をかけると、




『！』


パァ！という音が相応しいほど瞳を輝かせ、トットコ駆けてくるポメラニアン。



そこにいたわんちゃんは、似てるかなとかそういう話ではなく、バニラ本人(犬)だった



母「あら、蓮」



ついでにお母さんもいた。





.....え、お母さん？





とりあえず、スタッフさんには「関係者です」と断りを入れバニラを連れて騒ぎにならない所へ移動して




「え、お母さん、なんでいんの？」



母「散歩途中に通りかかって、ね？」

『わん！』


「あ、そう...」



そういや実家から徒歩圏内のこの撮影地は散歩コースに入ってたのか

一夜しか離れてないが俺も、バニラも嬉しそうで足元でしっぽをフリフリしてるバニラを「バニラ元気かー？」と抱き上げると






「あれバニラ、これ」






なにかを咥えてたバニラ。







........なにしてんのよ、

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