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こうかん ページ22

「でさ、ラウールめちゃくちゃ速くて、」
『蓮くん、お箸止まってるよ』
「あ、ごめん」

あれからすぐ戻ってきた蓮くんの両手には
私のお弁当箱と、彼のお弁当箱。

ベッドの脇に2人で腰かけて食べてるんだけど
蓮くんは話に夢中になると食べるのを忘れるみたいで。

「…俺、二つのこと同時にできねーの」
『器用そうなのに』
「だからテレビ見ながら飯とか食えないんだよね」

口いっぱいにご飯を詰め込んでもぐもぐする姿は
男の子って感じなのにすごく可愛い。

案の定会話は途切れて、食べる事に集中しだした蓮くん。
だけどこの無言も居心地良い。

「あ」
『ん?』

そんな彼が、発した一言。
どうしたのかと顔を見ると、その視線は私のお弁当の中の卵焼きをロックオン。

「…その卵焼き、食べたい。交換しない?」
『あは、いいよ、あげる』

どーぞ?とお弁当を差し出すと
ニコニコ笑顔でひょいと移された卵焼き。

「俺、人の家の卵焼き好きなの」
『そうなの?』
「その人の家の味知れるって言うか…なんかいいなって」

だから俺のもあげる。と
差し出されたのはお弁当じゃなく、彼のお箸に掴まれたそれ。

『……え?』
「え?ほら。口開けて」

でも、と言いかけた口にひょいと入れられた卵焼き。
ほんのりあまじょっぱくて、美味しくて。

「どう?」
『おいしい、です』
「よかった」

俺も食べよ、と口に入れたのは私が渡した卵焼き。

「んっま」
『…ほんと?』
「うん、俺この味付けちょー好き」

キラキラな笑顔で言うから、とくんと胸がなる。

『…それ、私が作ったの』
「……マジ?」
『お弁当は、いつも自分で作ってるの』

好きな人に褒められたら、舞い上がっちゃうじゃん。

「すげぇ。いいお嫁さんになんね」
『っ、そうかな』
「こんな美味しい飯なら、喜んでめっちゃ食っちゃうかも」

そんなの、まるで旦那さんになるみたいな言い方。
…いやいや、彼氏になってもらうのさえハードル高いのに。

「美味かった、ご馳走様でした」
『ご馳走様でした』

あれならまた黙々と食べ始め、
一緒に手を合わせてご馳走様をした。

昼休憩が終わるまで、あと10分。

「Aは、まだ休んでなよ」
『でも…』
「俺が休んでて欲しいの。危ないから」

代わりにこれ、預かってて。と
私の肩に掛けたのは一回り大きなジャージ。

「これ、ここで預かる係ね」

何も言えず頷くと嬉しそうに笑って頭を撫でた。
扉をしめた背中を見つめて
掛けられたジャージを握りしめた。

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設定タグ:SnowMan , 目黒蓮 , 渡辺翔太   
作品ジャンル:恋愛
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作者名: | 作成日時:2024年3月13日 9時

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