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『こんにちは、今日もコーヒーですか?』
「うん、それで!」
『もう、頼む物もお馴染みですね』
これが所謂、コージさんのいつものってやつですかね?って
今日も他愛もない話をする。
あかん可愛い、ほんっっっまに可愛いんやけど。
あれからというものの、恋心に拍車のかかった俺は
通える日はとことん通うようになった。
______名前!康二って言います!!
______コージさん、やっとお名前わかって、嬉しいです
いつまで経っても距離が変わらんのがもどかしすぎて
いつの日にか告げた、俺の名前。
その後ちゃんと、漢字まで教えちゃったり。
「そーいえばさ、Aちゃんの好きな飲み物、何なん?」
『私ですか?』
「そ、知らへんなって思って」
いつの間にか、ここまでフランクに話せるようになった。
少しだけ俺より年下。ちょっと朝が苦手なこと。
お菓子作りが好きで
スイーツに惹かれてカフェで働き出したこと。
食いしん坊みたいですよねって照れてた顔、
俺、一生心のファインダーにしまうわ。うん。
このお店で扱っているものは
もちろん俺の頼むコーヒーだけやなくて
他にも色々置いてある。
毎回、この中でどれが好きなんやろ…差し入れ…とか
考えてはおるんやけど、ずっと聞けへんくて。
お客さんが珍しく少なくて
後方に誰もいないことを確認した後、口にした質問。
『…レモンソーダ、好きです』
綺麗な指が指したそこに書かれた、レモンソーダの文字。
甘くて、苦くて、しゅわしゅわしてるの美味しいです。
何故か恥ずかしそうに笑った彼女に、
まるで今の俺みたいやな…と
臭いことを言いたくなった気持ちはしまって
そうなんや、じゃあこれも!と追加注文をした。
『お友達か誰かと会うんですか?』
「んー?ちゃうで、これはAちゃんの」
『…えっ?』
「あ!嘘!?これ差し入れとかあかんパターン!?」
やばいやらかした、気持ち悪いことしたかもしれん、と
1人で慌てる俺を見て、クスッと笑った。
『いえ、むしろ…いいんでしょうか』
「ええねん!俺が、あげたいねん、好きな物」
ついでに俺も貰って欲しいんけど、とか
またしょうもないこと考えながら、
じゃあ有難くご馳走されます、と
レジに注文を打ち込む。
なんか、俺が頼んだコーヒーと
彼女が好きなレモンソーダが並んでんの
めちゃくちゃええなあ、と思ったり。
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作者名:蒼 | 作成日時:2024年2月25日 20時