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pink…? ページ18

映画『マッチング』公開記念 short story



『後半のさあ…あれは怖いよ』
「えー?そんなに?」
『うん、もうほんとに死んだ魚の目してた』
「あはは!!ひっどぉい」

家に帰ると
先程までスクリーンの中で狂気的な役を演じていた彼が
おかえりい、とソファから出迎えてくれた。
感想!感想は!とキラキラした目を向けるので伝えると
どこか満足そうな顔。

恋人相手といえ決して仕事の情報を漏らさない所が
本当にプロで、敬意があって、好きだ。
髪の色を変えた時、お仕事だと言ってはいたけど
まさか映画だなんて想像もつかなくて
何故か私が泣きながら喜んだのも去年の事。


『あと5回は見に行こ…』
「わあ、そんなに見てくれるの?」
『怖いけど、吐夢くんのビジュアルとか声とか好きかも』

そこから立て続けに、この方のお芝居が!とか
この場面はさ!とか
一方的に感想を言いまくって、ふと我に返ったとき。

『…あれ、大介くん?』
「……」
『おーい』


にこにこ顔で聞いてた大介くんが虚ろげに、怪しく笑う。


「吐夢の事、気に入ってくれたんだね」


いつもより数トーン低いその声に
背筋がゾクッと凍りついたのが分かった。

『だ、大介くん?』
「嬉しいな、そんなに細かいところまで見てくれたんだね」

ジリジリと距離を詰められて
逃げたくても、同じソファに座っているから逃げられない。


気付けば視界がぐるんとかわって
真上にその、綺麗な大介くんのお顔。
……どちらかと言うと、先程までスクリーンでみてた
狂気的で、愛に飢えている彼の渇望した瞳にそっくりで。


「吐夢は俺だけど、俺じゃないから」
「でもこういうの…好きだったんでしょ?」

そのまま顔が近づいてきて
思わずぎゅっと目を閉じる。

「ダメですよ、目。瞑ったら」

そのまま唇には触れずに
耳元でその低い声が聞こえて、体が跳ねた。
かぷ、と耳たぶを噛まれた感覚と同時に
背中に回された手が、ツーと背骨をなぞって。

『だっ…だいすけ、く』
「可愛い反応。弱いとこばっか虐めてるからかな」

だめだ、耐えきれない、これ以上はもう。
肩をグイッと押して、彼と視線を合わす。


『…わざと、やってるでしょ』
「んー?」
『わざとその声だして、その目、してるでしょ』
「ふふ、ばれたぁ?」

ぽんぽん、と私の頭を撫でながら
いつもの調子に戻った大介くん。

「そんなに気に入ったならね?」
『…〜〜〜っ、』

耳元で聞こえた、意地悪な言葉。

(吐夢みたいに、愛してあげようと思って)

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設定タグ:snowman , 佐久間大介 , 目黒蓮   
作品ジャンル:恋愛
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作者名: | 作成日時:2024年2月25日 20時

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