深澤先輩！（紫）

30話 ページ30

　
　
「……あ！カラオケ！どう？盛り上がってる？」



目黒「ああ、ラウが踊りながら歌ってる」



「え！いーーなーー！すごい楽しそう！！」



目黒「……お前もくればいいんじゃね？」



「うぅ……それは、その………今日はちょっと疲れちゃって！明日だったら元気に行けたのになー、なんちゃって！！」



目黒「…………………」



「………………」
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　

気まずい。全然話が弾まない。あれ？わたしいつも目黒とどうやって喋ってたっけ？
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　

目黒「俺、空気作ったり、お前が吐き出せるように、とか、そういう回りくどいこと得意じゃないから、聞いちゃうけどさ。」



「…………」



目黒「どうした？なにがあった？」
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　

ストレートな目黒の言葉に思わず目から雫がこぼれ落ちた。
なんでそんなまっすぐ聞いてくるんだ。そのほうが効くじゃないか。
拭っても拭っても自然と目から溢れ出してくる雫もそのままに目黒を見ると、口から言葉が溢れた。
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　

「……深澤先輩。………待ってたんだけど、来なくて。泣いてた籐子先輩と一緒に、帰ったみたい。………私の連絡先は誰かから聞いたって。通知がきて。……交換はできた。…………できたけど、、ん………その……」
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　

　
　
　


ギュッ

　
　
　
　
　
　
　
　
　
　

「………え」



目黒「………よく頑張ったな」


　
　
　
　
　
　
　

　
　
　
　
　
　
　

目黒にふっと引き寄せられ、包み込まれる。宝物をそっと抱くように優しく、少し力強く。
目黒の体温が伝わる。

　
　
　
　

目黒「辛かったろ。よく頑張った。えらいよ、鈴木。しんどい時は1人で抱え込むな。俺も清水もラウもみんないる。悲しいときは悲しいって言って吐き出せばいいんだから」



「…………っ、悲しいっ、っう、悲しかったの……、わかっ、て、るっけど……勝てな、いこと、っわかって………」



目黒「うん、うん」

　
　
　
　


　
　
　
　
　
　
　
　
　
　

嗚咽が止まらず涙を流しながら何を言っているかわからない私の話を、目黒はバカにすることなく一生懸命聞いてくれた。悲しい気持ち誰かに吐き出すのがこんなに苦しくて辛いなんて。
　
　

31話→←29話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す