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『お姉さんごめんねー。…めめ、駄目だよ』
匂いだけで、声を聞いただけで誰か分かってしまう。
振り向くと、そこにいたのはやはり辰哉だった。飄々とした態度でへらへらと笑っている。
一瞬かち合った視線。
(なんでここにいるの？ってあたしもか…)
そんな視線もあっという間に離れてしまう。
〚たつー！こら！ダメでしょ！〛
後ろから追ってきた彼らのお姫様。
実際見ると数倍可愛いんだなぁと思ってしまう自分がいる。走って辰哉に寄ってきたお姫様はさも当たり前かのように辰哉の腕に触れた。
(触らないで…)
零れそうになった言葉を残っていたグラスのお酒で流し込む。
抵抗も嫌がる素振りも見せない彼。
彼女の大きな声で近くにいた人たちが、気づき出す。
〈ふかおうだ…〉
〈…やっぱり二人って付き合ってんだ…〉
爆音を搔き分け嫌な言葉だけはしっかりと聞こえる。
すべてかき消してしまえばいいのに…
〚バレちゃった！もう戻ろう？〛
お姫様はよりしっかりと彼の腕を抱き、私の隣に座っていた目黒くんもつれてVIP ROOMへと戻っていく。
道中で声をかけられたであろうお姫様は辰哉の腕をしっかり握ったままアイドルスマイルで手を振っている。
腕を引かれて歩く目黒くんが何かを言おうとしてたけど、
君の言葉を最後まで追ってあげるほどの余裕はなさそう…
(まさか、ここで見るなんて。…心の準備をする時間ぐらい欲しかったなぁ)
これ以上見たくなくて彼らに背を向けて、店を出る。
ーーーーー
ーー
熱気に満ちた店内から飛び出せば、きつく吹く冷たい風にぶるりと体が震える。
(あ、りっちゃんに連絡しなきゃ…)
lineを開き、先帰ると送れば数分もしないうちに返信が来る。
[また話聞く。タクシーで帰りなさいよ。]
少ない言葉で、すべてを理解してくれるありがたい存在。
心配してくれた手前申し訳ないが、なんだかタクシーに乗る気分ではなくて、ゆっくり徒歩で帰路につく。
(なんかあの二人…悔しいぐらいお似合いだったなぁ)
メンバーにも紹介してもらえない私と、沢山の人に辰哉とカップルにと望まれるお姫様。
邪魔なのは私なのは分かってるけど、どうしても渡したくない。
(その時が来たらちゃんと別れるから。もうちょっとだけ彼を私のものだと思いたい…)
込み上げてきた目頭の熱も頬を濡らすこれも全て寒さのせいだと言い聞かせて…
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のん(プロフ) - とても面白い小説ではまってしまいました。主人公の気持ちがとても切なく、共感できる素敵な主人公だなと思います。どんな結果でも幸せになってほしい！これからも応援してます。 (3月15日 16時) (
レス) id: d13a90d6ad (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - とても面白かったです。思いあってるのにすれ違ってる2人も、彼女のことを考えてくれる目黒くんも、立場を考えると切なくなります。深澤担ですが主人公がしっかりとしてるのに、段階を踏んで目黒くんの優しさに触れていく過程が素敵でした。続き楽しみにしてます。 (3月15日 4時) (レス) @page38 id: 3a34fd6c9d (このIDを非表示/違反報告)
あたりん(プロフ) - 更新楽しみにしてます！続きがとても楽しみです！ (3月13日 22時) (レス) @page38 id: 8619ea3777 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お豆腐屋さん | 作成日時：2024年3月3日 21時
