閑話 ページ8
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最初はまずいと思った。
曲がりなりにも深澤辰哉の彼女だ。こんな場所で彼の仕事仲間と会うなんて…
そんな私の心配は杞憂だったようだ。
私の顔を見ても一切表情は変わらず、隣に座って『何飲んでたの？』と聞いてくる。
(あぁ、彼は私のことを知らないんだ…)
それが示すのは、辰哉が私のことをメンバーにも言っていないということ。
辰哉とメンバーの距離感を知らないし、彼女の有無を言うも言わないもの彼の自由だ。
でも、こんだけ長い間付き合っているのに、言ってないんだ…という事実に胸が痛む。
(これは私のわがままなのかな…)
未だに何も言わない私の顔を覗き込んで、ほらっと言わんばかりに言葉を待っている。
ここにいない人を気にしている自分が馬鹿らしくなって、
「…ウォッカトニック」
そういえば、嬉しそうに笑顔を返し、バーカンのお姉さんに注文してくれる。
『お姉さん名前は？』
「…A」
『今日、一人？』
「ううん。友達と来た。」
『え？友達は？』
ステージの方を指差すとあぁと納得したように頷く。
「友達の推しが出るから、来たの。」
『Aの推しはいないの？』
「…呼び捨て」
急な距離感の詰め方に戸惑って、思わず声に出してしまったが、彼は何食わぬ顔。
『だめだった？』
「だめではないけど…」
なんて返したらいいか分からなくて、つい曖昧に言葉を返す。
それを聞いてか満足そうに笑う。
『で、Aの推しは？』
「分かんない。でも推しがいる人って楽しそうだよね」
数刻前のりっちゃんを思い出して、何気なく言ってみる。
『じゃあ、俺推して見る？』
「目黒蓮を？」
『あ、知ってたんだ』
「まぁね。」
『で、どう？』
「…考えとく」
私の答えをおかしそうに笑う彼。
屈託のない少年のような笑顔。笑うと目が無くなる感じもきっと女性を魅了するんだろなと他人事のように見ていれば『ん？』とこちらを優しい顔で覗き込まれる。
返す言葉が見当たらなくて、それを隠すように彼が頼んでくれたお酒を流し込んだ。
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のん(プロフ) - とても面白い小説ではまってしまいました。主人公の気持ちがとても切なく、共感できる素敵な主人公だなと思います。どんな結果でも幸せになってほしい！これからも応援してます。 (3月15日 16時) (
レス) id: d13a90d6ad (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - とても面白かったです。思いあってるのにすれ違ってる2人も、彼女のことを考えてくれる目黒くんも、立場を考えると切なくなります。深澤担ですが主人公がしっかりとしてるのに、段階を踏んで目黒くんの優しさに触れていく過程が素敵でした。続き楽しみにしてます。 (3月15日 4時) (レス) @page38 id: 3a34fd6c9d (このIDを非表示/違反報告)
あたりん(プロフ) - 更新楽しみにしてます！続きがとても楽しみです！ (3月13日 22時) (レス) @page38 id: 8619ea3777 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お豆腐屋さん | 作成日時：2024年3月3日 21時
