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『あ、ここだ。』
「…嘘でしょ」
楽しそうに笑う彼の隣で、私が頭を抱えている理由は目の前の席にある。
(ペアチケットの意味を考えるべきだった)
ーーー
ー
指示されたシアターに入れば、ほとんど貸切状態。
(プラネタリウムって久しぶり来たかも…)
最後の記憶は多分小学校の校外学習だった気がする。
当時のプラネタリウムとは様変わりしたことに驚きながらついキョロキョロと周りを見渡してしまう。
『あ、ここだ。』彼のその言葉で視線を移せば、冒頭に戻る。
招待席だからなのかとてもいい席。いい席なのは分かるが…
「ペア過ぎるでしょ…」
それを聞いて笑う目黒くんをじろりと睨む。
「…別の席買ってくる」
踵を翻したとき無情にも着席を促すアナウンスと閉まる出口。
『諦めて座れば？』
さっきまで見上げていた彼が今度は私を見上げてそう言う。
席の淵あたりにちょこっと腰掛けると、ぐいっと腕を引かれあっという間に席の真ん中あたりに座らされる。
「うわっ！」
『しー』
「ごめん…って、貴方のせいですけど…」
小声ではあるが絶対に聞こえているはずなのに返答はない。
(もう、なんでもいいや…)
せっかく来たのだから楽しもうと割り切り、膝を抱えて上を見上げる。
都会の空では見えない満点の星たちに思わず心がときめいた。
優しく語りかけるような解説の声と、季節ごとに切り替わる星の移ろい。
夢中で見つめていればあっという間に時間は過ぎていた。
「…誘ってくれてありがとう。」
明るくなったシアター内にはもうわたしたちしか居ない。
さっきまでの感動そのままに彼にそう言えば、とても優しい顔で『どういたしまして』と返される。
プラネタリウムを出た時すっかり日は落ち、どっぷりと夜が街を包んでいた。
「じゃあ、私こっちだから」
その場を去ろうとした時、掴まれる腕。
(なんかデジャブ…)
振り向けば真剣な顔した彼。
『また誘ってもいい？』
「うん。」
『連絡する。このあと仕事だから送ってあげれないけど、気をつけて帰ってね』
「ん。大丈夫、ありがとう。」
嬉しそうに笑いながら手を振る彼に、手を軽く振り返した。
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のん(プロフ) - とても面白い小説ではまってしまいました。主人公の気持ちがとても切なく、共感できる素敵な主人公だなと思います。どんな結果でも幸せになってほしい！これからも応援してます。 (3月15日 16時) (
レス) id: d13a90d6ad (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - とても面白かったです。思いあってるのにすれ違ってる2人も、彼女のことを考えてくれる目黒くんも、立場を考えると切なくなります。深澤担ですが主人公がしっかりとしてるのに、段階を踏んで目黒くんの優しさに触れていく過程が素敵でした。続き楽しみにしてます。 (3月15日 4時) (レス) @page38 id: 3a34fd6c9d (このIDを非表示/違反報告)
あたりん(プロフ) - 更新楽しみにしてます！続きがとても楽しみです！ (3月13日 22時) (レス) @page38 id: 8619ea3777 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お豆腐屋さん | 作成日時：2024年3月3日 21時
